GIBIER HUNTERS ジビエハンターズ

インタビュー

Interview

ハンター

江戸 豊

今回は、銃猟歴46年、罠猟の講習会で、講師もされている現役ハンター江戸豊さんにインタビューさせていただきます。江戸さんは、若狭ジビエ工房(食肉処理施設)も運営されています。ハンターと食肉処理の両方のお話をお伺いします。

GIBIER HUNTERS
まず、若狭ジビエ工房に持ち込まれる食肉用の頭数を教えてください。
江戸さん
鹿70頭、猪30頭くらいです。
中型の処理施設ですね。猟の種類ですが、どんな方法ですか?
銃20%、くくり罠30%、箱罠50% の割合です。
箱罠が多いのですね。ちなみにくくり罠のいい点と悪い点教えてください。
一概には言えんけど、くくりは、設置が簡単、それから安い。悪いところは毎日の見回りが大変。
くくり罠は市販で、いくらぐらいするのですか?
そうだね。1万1千円から1万2千円くらいかな。私は自作だから、2千円くらい。
江戸さんご自身は、何個くらいくくり罠仕掛けるのですか?
有害獣の場合、無制限だけど、見回れる範囲が、あるから20個くらいだよ。
毎日7:00~10:00までの3時間、車で30~40キロは移動します。今日も猪1頭 掛かってたけど。
もう捌いたのですか?
いいえ、今日のイノシシは、食肉にしないで、処分しました。
小さすぎたんですか?
35キロでしたけど、年によって35キロでもダメなんです。今年は痩せてますわ。
なんか、もったいない話ですね。
まあ、その辺を肉にするかどうかが、こだわりというか、目利きというか。
くくり罠で、死んでいるときもあるのですか?
ないです(ハッキリ)。毎日見て回ってますから。
江戸さんご自身、どのくらい捕獲するのですか?
年間で猪と鹿で合わせて、250頭くらいです。
えーと、先ほどの年間の食肉頭数を上回ってますよね。計算的に合わないなぁ。
7~8割を廃棄してますから。1月から3月に獲った猪12頭はすべて廃棄しました。
えーそんな、捨てるんですか?もったいない・・・自分の罠ですよね?
そうです。自分の罠でも、ダメな肉はダメです。他では使っちゃうかもしれないけどね。
次に箱罠の特徴を教えてください。
設置後が、簡単かな。一回仕掛けたら、餌を追加するだけだから。
箱は市や県から補助が出ますよね。
私は自前です。
でも市から借りたほうが・・
僕は箱も作ってます。市にも販売してます。
すごい。なんでも自作ですね。狩猟をしていて、危ない目にあったことは?
ないです。(ハッキリ)46年やってますから。
罠の場合どのように止め刺しするのですか?
主にこん棒です。鹿は全部、小さい猪まではこん棒で仕留めます。
気絶させるわけだな。でかい猪は、銃です。弾はスラッグ弾です。
去年、電気ショッカーを買ってみたんだけど、まだ試してないや。
銃で獲った肉と罠で獲った肉では肉質が変わりますか?
うーん、どっちも言えんなぁ。
でも、くくり罠で後ろ脚に掛けたやつは、ほんど使えませんな。鹿は後ろ脚の肉が、多いから。血が回って使い物にならんからね。銃の場合、ネックショットかヘッドショットがベスト。内臓を傷つけたやつは論外です。
うーん、これまたもったいないですね。ちなみに放血作業はどんな感じですか?
心臓が動いていると楽です。まず、ナイフで頸動脈を切ります。蛇口から水がでる勢いで血が出ることがあります。放血させたまま、処理施設に持ち込みま
す。
処理施設の作業は?
内臓摘出と剥皮は、1次処理といいますが、シカはすぐやります。イノシシは脂身が多くて、剥皮の時間がかかるから、内臓処理してから一度冷却します。
それから剥皮します。猪のほうが、気を遣います。早くしないと肉が焼けるしね。
よく「肉が焼ける」といいますけど、どんな感じですか?
うーん、説明が難しいね。蒸れた肉の感じかな。色はかわりません。
若狭ジビエ工房では、何人の猟師さんと契約しているのですか?
15名です。でも引き取れない場合も結構ありますよ。搬入までに冬なら1.5時間から2時間、夏なら30分から40分です。7-8割が廃棄されます。
ちなみに、害獣駆除では、どのくらいもらえるんですか?
鹿1万6千円、猪は1万5千円。
結構高いですね。
県や市によって違うけど、高いところは2万4千ってのもあるよ。
うわ、ずいぶん違いますね。ちなみに罠を仕掛けた人と止め刺しした人のお金の配分とかあるんですか?
最初から町で決められてるんだよ。ここは7:3だね。
駆除の要請ってどうやってくるんですか?
県→市町村→猟友会→捕獲隊って、順番だね。捕獲隊は猟友会から推薦をうけた無事故・無違反で狩猟に精通した人です。
聞きにくいのですが、ほかの猟師さんから若狭ジビエ工房に、搬入された場合は、キロいくらで買い取るのですか?
キロでは買わないね。1頭につき、搬入補助費として払ってるけど。クルマのガソリン代くらいだよ。
1頭6000円~8000円という食肉処理施設もあるみたいですが。
どんな状態の猪鹿でもよければ可能だけど。鹿肉については、歩留まりが悪く、20%も利用できればいいほうです。販売単価も1頭あたり20000円程度しかならないからね。とても搬入費にそんなには払えないよ。
最近、若い猟師さんとか増えないですか?
少し増えたね。狩りガールもいるよ。二人も。
本当ですか?テレビだけの話かと思ってました。おばさんとかじゃないですよね?
20代だよ!二人ともうちの食肉処理施設で解体までやるよ!
女性のほうが活発ですね。最後に江戸さんにとって、ジビエ工房の面白さは
趣味の延長だね。買いにくるお客さんと話すのも楽しいし、「臭みもなく美味しく食べられた」って言ってもらえると最高だね!
いろいろとありがとうございました。これからも頑張ってください。

ハンター

江戸 豊(えど ゆたか)

昭和25年生まれ
JR西日本に勤める傍ら、狩猟を始める。
退職後、農事法人「大黒ファーム」理事、狩猟免許講習会の講師など忙しい毎日を送っている。なめし皮の作成や、角や牙を使ってのキーホルダー作り、罠や檻まですべて自分で作ってしまう。