GIBIER HUNTERS ジビエハンターズ

インタビュー

Interview

美作市 森林政策課

河副 基彦

今回は岡山県美作市にあるジビエ食肉処理施設を運営されている美作市・森林政策課・ 河副基彦さんにお話を伺います。
河副さんは、美作市の職員で、施設の運営全般を管理されています。

GIBIER HUNTERS
美作市が、食肉処理施設設立するまでの経緯を教えてください。
河副さん
平成23年までは、猟師さんが捕獲したシカを各自の判断で処理していたのですが、捕獲頭数が3000頭を超え、その対処について考えて欲しいと猟師さんから要望があり、焼却場や食肉処理施設の建設を検討しました。その結果、厄介物を地域の新たな特産品とするため、食肉処理施設を24年に建設しました。
河副さんの所属は?ジビエにかかわっている職員の方は?
美作市の森林政策課になります。5人職員がおりまして、一人は有害鳥獣対策、わたくしが、ジビエの業務を担当しています。
建設当初からかかわっていらっしゃるのですか?
はい、役所の中で孤軍奮闘しています(笑)
食育処理施設を作るまでのフローを教えてください。
猟友会からの要望を受け、まず担当課で調査を行い、岡山県経由で国へ事業計画協議を行い、1年間で建設しました。
建設費は、どのくらい掛ったんですか?建設費の補助はでるのですか?
建設費は、約7,000万円。 補助は2,500万円 です。
建設まで、かなりご苦労があったのでは?
そうですね。いろいろな施設に視察や相談させていただきました。また、住民説明会は、2回程度開催し、視察にも参加してもらいました。住民からは、施設へ搬入時にブルーシートで被うことや、道路の指定などありましたね。後は処理した時の水を、下水に流すか、浄化槽を使うかを決めるのが大変でした。下水道がひかれていない場合のコストや浄化槽も1000万円程度はかかりますし・・
結果的に下水道に放流しています。
近隣の反対はかったのですか?
周りの方が、農作物等の獣害で困っていたので、とくに大きな反対はありませんでしたが、他県では、たまにあるようです。
猟友会との連携はどうしているのですか?
美作市猟友会は260名の会員がいます。6つの分会に分かれていて、さらに分会の中から駆除班を募ります。
河副さんも駆除するのですか?
一応。ですが、まだ1匹も駆除していません。不思議なんですが、僕を避けているようです(笑)
殺気がわかるんでしょうね(笑) 捕獲頭数や捕獲方法を教えてください。
捕獲方法はくくり罠がほとんどです。銃での捕獲は1割程度くらいです。ニホンジカの捕獲頭数は5000頭を超えています。
5000頭ですか、結構多いですね。食肉処理は何頭ですか?
1500頭ですね。
規模が大きい食肉処理施設になりますね。何人体制ですか?
4-8月が5名、9-3月が6名です。月曜日が定休日です。
土日休みではないのですね?
はい、土日にハンターさんの搬入が多いので、休めません。
皆さん、食肉処理の経験者ですか?
いいえ、違います。食品衛生責任者は常駐していますが、解体技術は、日本ジビエ振興協会や保健所の指導を受けながら、向上させています。
意外に、なまじ手癖がついていて、我流の人よりいいかもしれませんね。河副さんも解体するのですか?
残念ながら、不器用でできません。
鹿肉をよく食べますか?
実は、あまり食べません。田舎では有害獣のイメージが強く、調理方法も難しいので。やはりもっと手軽な調理法があるといいですね。
内臓はどうしてるのですか?
現在はほとんど廃棄しています。一部ドックフード業者に引き取ってもらいます。
端肉は?
これもドッグフード業者です。打ち身の多い肉も同様です。
獲れる時期、獲れない時期ありますか?
4-8月が比較的捕れないですね。夏はハンターも暑くて休むのと、肉の傷みが激しいからですね。9-3月はよく獲れます。
旨い時期、不味い時期ありますか?
あります。 ニホンジカ、イノシシとも脂がのる時期があり、シカは夏。いわゆる「夏シカ」ですね。イノシシは、冬ですね。
へー、意外にレストランは、夏の鹿は、まずいと思ってますからね。
特に本州シカの雄は、肉にも霜が入り、外にも脂身がついて美味しいんです。食べるとびっくりしますよ!ほとんどのレストランが、10月からのエゾシカを使い始めるのですが、是非夏に本州の鹿を試していただきたいですね。
最高搬入頭数は?
平成25年11月に1日当たり21頭です。あまりにも多くて、処理できないので、ペットフードにするしかありませんでした。
レストランへの納品温度は?
基本は冷凍です。やはり細菌の繁殖など心配ですから。また、チルドだと金属検知器の精度が落ちるんです。
河副さんの主なお仕事は?
主に営業、商談、展示会への出展、経理、などです。普段は役所でデスクワークです。
営業などのご苦労はありますか?
開設したタイミングがよかったのかもしれませんが、取引先も順調に伸びています。売り先は、市外が90% 市内が10%です。市外は東京都と大阪のフレンチ・イタリアンがほとんどですが、すべて間に、仲卸さんを入れています。
さて、害獣駆除の補助金について、お伺いします。国・県・市からどのくらいの補助があるのですか?
まず、国からは成獣:8000円、幼獣:1000円です。体長などで決められます。
県からは、7~9月限定で、シカ4000円、猪、4,000円です。(シカは、10月まで)
市からは、シカ12000円、猪5000円、ただし、猟期中はシカ10000円、猪は0円です。
ちょっと待ってください。
電卓をはじきますと、仮にシカ成獣を7~9月に捕獲すると、8000円(国)+4000円(県)+12000円(市)=24000円ですか?
結構いいお値段ですね。猟友会の取り分や農家さんの取り分なども設定しているのですか?
いいえ、配分などは、駆除班にお任せしてます。止め刺し費用は、猟友会の申し合わせで3000円と決まっています。
食肉処理施設の仕入れ価格はどうですか?
仕入れ価格としてはありませんが、施設への搬入加算金として、1頭1,000円支払います。
季節により搬入加算金は変わりますか?
いいえ、かわりません。
仮にですよ、5000頭×平均20000円の補助金を出すと、1億円ですね。
すごいですね。えーとこれを260名のハンターさんで割ると、お1人約40万円。
低く見積もって、月3万円。うーん高いのか安いのかわからない金額ですね。
ちなみに、捕獲上限はないのですか?
いまのところありません。
罠への補助は?
箱もくくりもありません。
食肉処理施設は、ずばり黒字ですか?
残念ながら赤字です。
あちゃ~ 美作市は頭数が多いので、黒字化していると思っていました。売り上げや固定費とかお伺いしていいですか?
売り上げが、約1900万円です。人件費が1300万円、電気水道などが、約240万円、雑費が約230万円。現在累計で約400万円の 赤字です。
河副さんのお給料も入るのですか?
私の給料は含まれておりません。
赤字解消に必要な策は?
仕入れの単価は、これ以上落とせませんので、①販売価格を上げること。②ロースやモモ以外の部位の売り先を確保すること。③ブランド力もつけること。
駆除費用をもらうためには?猟友会にはいらないとだめですか?
そうです。猟友会加入が条件です。
捕獲証明は?
シカは、尻尾と耳、下の前歯2本(イノシシは、尻尾と耳)です。それに個体にメジャーをあてて、自身の写真を撮ります。これを記録用紙に記入します。
隣の県では駆除をしていなくて、他の人から、その証拠品をもらって申請する不正が発覚しています。どうお考えですか?
大日本猟友会と国で調整してほしいですね。
最近、捕獲圧が高まってか、鹿が獲れない地域もあるようですが。
当施設もすこし減っていますね。ただ、害獣駆除が最大の目標なので、食害が減ってくれれば、市としては助かります。そのあたりが、ジビエのビジネス化を難しくしているかもしれませんね。
本日は、お忙しい中、丁寧に答えていただきありがとうございます。
是非、河副さんご自身、1頭駆除できるといいですね。